中学校英語教育改革


昨年度、小学校で新学習指導要領が全面実施されたのに伴い、小学校での英語の授業が大きく変わりました。その内容は簡単に言えば「教科化」と「早期化」です。5、6年生では英語が年間70単位時間(週2回)となり、成績の付く「教科」となりました。そしてそれまで5、6年生で行われていた年間35単位時間(週1回)の「外国語活動」が3、4年生に前倒しとなりました。

そして今年度は中学校での新学習指導要領が実施となりました。内容は習得語数が増加することと、これまで高校で扱っていた「仮定法」や「原形不定詞」が中学校に下りてくると聞いていたので、どんな教科書になるのか興味深々でした。そして近くの本屋さんにやっと新しい教科書が入ったので、今日買って早速見てみました。


まず最初の感想は「登場人物のイラストが少女漫画みたい♪」でした。教科書っぽくない表紙ですが、英語に対する敷居をヴィジュアル的に下げて、生徒がとっつきやすくなるという効果は少しはあるかもしれません。次に中を開いてまず「おや?」っと思ったのがページの右上にあるQRコードでした。


もしや、と思いスマホを取り出しスキャンして、読み取ったURLにアクセスしてみるとやはり音源でした!これは素晴らしいと思います。これなら生徒さんは自宅でもリスニングやシャドウイングの練習ができます。従来の読解や和訳、文法や単語の暗記に偏った学校英語から、リスニングやスピーキングなどのコミュニケーションを重視した実践的な英語にシフトさせるという意図と、そのための工夫が見られます。

そして聞いていた通り「仮定法」「原形不定詞」「現在完了進行形」などの文法が扱われていました。特に「現在完了進行形」は2年の教科書に入っていました。現在完了形自体、これまでは3年の学習内容でしたのでかなりの前倒しとなっています。


さらに文科省発表の「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」によると、中学校の英語の授業については「授業を英語で行うことを基本とする」という方針が示されています。これは授業内でのコミュニケーション全般を基本的に英語で行うことを意味しており、先生から生徒への説明はもちろん、生徒から先生への質問や、生徒同士のやりとりまですべて英語で行うということです。

素晴らしい方針ですが、教育の現場で実際にどこまで出来るかには、個人的にはかなり疑問符が付くと思っています。しかし英語と言えば机上の勉強ばかりで、実践の場がほとんどないことが、世界でも最下位に近い日本人の英語力の原因のひとつだと思いますので、政府が目指す「英語を使える力」を伸ばすためには避けては通れない取り組みだと思います。

来年度は高校の教科書が改訂されます。いよいよ本格的に動き出した日本の英語教育改革は困難を伴っても着実に、また確実に推し進めて頂き、今の子供たちが大人になる10年、15年後には普通に英語が生活の中にあって、日本人が「英語が話せる」のは何も特別ではないという日が来るかもしれませんね。

 

 


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