日本人が英語を「話せない」理由として日本の学校英語教育では文法知識の詰め込みや長文読解に多くの時間が割かれていることがこれまでよく挙げられてきました。そのため「英語はアウトプットが大切」という考え方が広まりましたが、コミュニケーションに必要な基礎的なボキャブラリーや文法知識を持たないままアウトプットばかりしていても英語の力を効果的に伸ばすことは当然出来ません。
「アウトプット」は常に「インプット」の先にあり、大学受験の勉強などですでに十分なインプットがある学習者はアウトプットの機会を増やすだけで大きく英会話力を高めることができるかもしれませんが、英語から離れた生活を何年、何十年も過ごしたのち英語を学び直したいと考える方ほどまずはインプットの量が大切となります。
ではどうするか?ですが、単語本で単語練習をしたり参考書や問題集で文法を学んだりするのももちろんいい考えで、中にはそうした学生と同じような「勉強」スタイルで英語を身に付ける方もいますが、多くの、特にまだ学習習慣の付いていない初心者の方ほど継続できないケースが多く見られます。そうした方にはぜひ「多読」をお勧めします。
「読む」という作業は一人で黙ってやる作業なので、英語を「聞ける」「話せる」ようになりたい大人の英語学習者から見れば優先順位の低いトレーニング方法に見えますが、多読をすることで単語やフレーズが増え、表現やコロケーションを学び、また英語を理解し処理するスピードが上がります。多読がリスニング、スピーキング能力を大きく向上させることは多くの実践的な研究でも証明されています。
英語能力の向上には「インプット」と「アウトプット」の両方のトレーニングが必要で、そのバランスは学習者のレベルや学習目的によって変化します。このブログのタイトルは「英語はアウトプット“も”大切」とさせて頂きましたが、インプットの量がアウトプットのトレーニングをより効果的なものにすることを忘れず、今日からインプットの習慣を作ってみませんか。